遺言の有効性に関する紛争
このようなお悩みはありませんか?
- 「遺言は亡くなった親の意思とは思えず、内容に納得できない」
- 「検認した後でも、遺言書の有効性を争えるのか」
- 「遺言書の筆跡が、本人が書いたものではないかもしれない」
- 「遺言書を作成したとき、本人は認知症だった」
- 「遺言書の本文がパソコンで作成されていたが、無効ではないか」
遺言が無効となる原因
⑴ 自筆証書遺言の場合
① 遺言者が全文自書すること
遺言書は、遺言者によって全文、自分で書いていることが必要です。そのため、遺言書を自筆で作成されていない場合は、原則として遺言は無効となります。
② 日付及び氏名が記載されていること
遺言書には、遺言書を作成した日付を記載する必要があります。日付を特定して記載していないと、原則として、遺言が無効になります。例えば、「令和〇年〇月〇日」のように、客観的に特定できるように記載します。
そして、遺言者を特定するために、遺言書に氏名が記載されていることが必要です。氏名の記載がない場合も、遺言は無効となります。
③ 押印されていること
遺言書には、押印がされている必要があり、押印のない場合は無効となってしまいます。
以上のように、自筆証書遺言は民法で方式が定められているため、その方式が守られていない場合には、無効となることがあります。
④ 遺言能力があること
遺言書を作成する上では、遺言者に遺言能力がある必要があります。遺言能力とは、遺言を有効に作成することができる能力のことをいいます。
遺言を作成する際に、遺言者が認知症であったなど、遺言能力がなかったとされれば、遺言は無効となります。
遺言書を作成した当時の判断能力がわかる資料として、病院の医療記録(カルテ等)の開示を受けたり、介護記録を精査するなどして、遺言能力の判断を行います。
また、民法では15歳から遺言書を作成できると規定されているため、15歳未満の者の遺言は無効となります。
⑵ 公正証書遺言の場合
公正証書遺言の作成は、証人が2人以上立ち会い、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口頭で伝えます。公証人が筆記した内容を遺言者と証人が承認した後、遺言者、公証人、証人が署名押印します。
公証人が公正証書遺言の条件を満たすかを判断して作成するため、形式が無効の原因になることはあまりありません。
遺言が無効になる場合は、証人になることができない者が証人になっていた場合です。
民法では、証人になることができない者は、未成年者・推定相続人及び受遺者、これらの配偶者及び直系血族・公証人の配偶者・4親等内の親族・書記及び使用人です。
これらの者が証人となった場合、公正証書遺言は無効となることがあります。
また、公正証書遺言の場合でも、遺言能力は必要となります。公正証書遺言を作成する際に、認知症であった場合、遺言能力が欠けていたとして無効になることがあります。
そのため、自筆証書遺言の場合と同様に、医療記録や介護記録を付けて、立証していくことになります。
(3) その他
① 遺言書を書き換えた場合
一度遺言書を作成した後、もう一度、別の遺言書を作った場合、内容が前の遺言書と食い違っている部分については、新しい遺言が優先され、前の遺言書はその部分が無効になります。
② 遺言の名宛人が死亡していた場合
遺言の受取人として指名された人が、遺言者より先に亡くなっていた場合、その人への遺言は原則として無効となります。ただし、あらかじめその場合に備えて、「代わりにこの人に渡す」といった内容の予備的な遺言があれば、それは有効になります。
③ 共同での遺言
民法では、1通の遺言書に2人以上が一緒に遺言を書くことは認められていません。そのため、遺言書は必ず1人ずつ、個別に作成する必要があります。もし、2人以上が共同で1つの遺言書を作成した場合、その遺言書は無効になります。
④ 偽造された遺言
もし遺言書が偽造されていた場合は、「その遺言書は無効だ」と主張して争うことになります。偽造された遺言書は、遺言者本人が自分で書いたという条件(自書性)に合わないため、無効になる原因となります。
そのため、偽造かどうかを判断するには、遺言者の筆跡が本当に遺言者のものと似ているかどうか、遺言書を作成したときに遺言者に筆記する能力があったかどうか、などを詳しく調べることになります。
遺言の有効性を争う方法
⑴ 交渉
遺言の有効性を争う方法は、まず相続人での話し合いによる交渉があります。この際に、相続人間で話し合って、遺言の効力を無効にすることができれば、遺言がないことを前提として、遺産分割をすることになります。
また、遺産分割調停においては、遺言書に書かれた内容とは違う取り決めをすることについて、話し合いをすることができます。
ただし、調停の場では、遺言の有効性を争うことはできず、民事訴訟で無効を主張します。
⑵ 遺言無効確認訴訟
遺言無効確認訴訟では、交渉では解決できない場合などに利用されます。遺言書が無効であるか否かを訴訟によって争うことになります。
遺言無効確認訴訟では、その遺言に無効となる理由があるかどうかを裁判で争います。その判決は、訴訟に関わった人たちの間でだけ効力を持つことになります。
判決によって無効の確認がされると、次は相続人間で遺産分割を行うことになります。
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