遺産の種類 | 不動産、現金、預貯金、有価証券、宝石・貴金属 |
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依頼者の立場 | 被相続人の養女 |
被相続人 | 依頼者の養親 |
紛争相手 | 依頼者の息子 |
依頼前の状況
ご依頼者様は、養親を亡くされ、相続に関するご相談にいらっしゃいました。相続人は、ご依頼者様、養親の次男、そして養親の孫2名(ご依頼者様の配偶者であり、養親の長男は既に他界されていたため、代襲相続が発生していました)でした。
養親は公正証書遺言を残されており、その内容は、すべての財産を次男に相続させるというものでした。しかし、養親が亡くなる以前に、その姉妹が先に亡くなっており、その遺産分割協議が進行中でした。
ご依頼者様は、遺言作成時の養親の判断能力に疑問を抱いておられ、また、遺産を全く受け取れないことに納得がいかない一方で、次男からの誠実な対応も得られていないと感じておられました。
依頼内容
当事務所は、相手方である次男に対し、主に遺言無効の確認請求、そして予備的に遺留分請求を行うことについてご依頼を受けました。先行していた養親の姉妹の相続については、遺言無効確認請求の進捗状況に応じて、必要であれば介入(遺産分割協議の一時停止や遺産の保全など)することも視野に入れていました。
対応と結果
まず、相手方である次男に対し、遺言の効力を争う旨と、予備的な遺留分請求の内容を記載した受任通知を送付しました。同時に、養親の姉妹の他の相続人に対しては、当面の間、協議を待っていただくよう依頼する書面を送付しました。
これと並行して、養親の判断能力に関する調査(認定調査票や医師の診断書など)を進めました。その結果、遺言作成当時に養親の遺言能力が完全に欠如していたと断定するのは難しい事案であることが判明しました。
そこで、方針を転換し、遺言無効の裁判提起も視野に入れつつ、遺留分に加えて解決金の支払いを現実的な着地点とすることにしました。この方針のもと、裁判所の助力を得るため、遺留分請求の調停を申し立てました。
裁判所の仲裁の結果、遺言の有効性を認める代わりに、先行していた養親の姉妹の相続について、ご依頼者様らの承諾がなければ決着できないという合意を取り交わすことに成功しました。最終的には、その相続における養親の取り分も加味した、十分な金額の遺産を確保し、それに応じた遺留分の支払いを認めさせることができました。
この事例では、複雑な相続関係と遺言の有効性に関する疑義が絡み合う中で、一次相続の状況も考慮に入れながら、粘り強く交渉を進めることで、ご依頼者様にとって納得のいく解決を導き出すことができました。相続問題でお困りの際は、ぜひ専門家にご相談ください。