解決事例
2025/08/21

長年実親の介護を自宅で行った相続人について,遺産の2割の寄与分を認めさせた事案

遺産分割 60代 男性 無職
遺産の種類 不動産、現金、預貯金、有価証券、家財
依頼者の立場 被相続人の息子
被相続人 依頼者の父
回収金額・経済的利益
2,000万円

依頼前の状況

ご依頼者様は、高齢の実親と同居されていました。しかしある日、ご依頼者様の元配偶者が突然家に戻ってきて同居を始めました。その後、ご依頼者様が不在の隙に、元配偶者は実母を連れ出し、そのまま行方不明になってしまいました。実母の通帳、実印、キャッシュカードなどもすべて持ち出されており、ご依頼者様は実母の安否や所在が全く分からない状況でした。

依頼内容

当事務所にご依頼いただいた内容は以下の通りです。

  • 実母の居場所の特定
  • 財産が勝手に移転されたり、元配偶者に有利な遺言が作成された可能性への対応(後見人の選任・財産返還・遺言の無効主張)
  • 元配偶者との離婚

対応と結果

状況が緊迫していたため、早急に家庭裁判所に対し、後見開始までの保全処分として財産管理人の選任申立てを行いました。裁判所は迅速に対応し、弁護士が財産管理人として選任されました。

財産管理人は、元配偶者への連絡を通じて実母の居場所(施設)と遺言の存在、金銭の引き出しを確認。説得の結果、引き出された金銭はすべて回収され、管理人の管理下に置くことができました。

その後、ご依頼者様と共に施設を訪問し、実母の状況を確認しましたが、残念ながら実母は衰弱しており、約半月後にご逝去されました。

後見人が正式に就任することはありませんでしたが、施設の特定と情報収集が可能となり、遺言無効確認訴訟と離婚調停を同時進行で進めました。

結果として、実質的な勝訴的和解に至り、元配偶者に少額の解決金を支払うことで遺言の効力を排除。また、離婚も成立し、年金分割も認められました。

初動対応が極めて重要な事例であり、財産管理人の迅速な選任が功を奏したケースでした。

このように、高齢の親族の行方不明や財産に関するトラブルでは、柔軟かつ迅速な法的対応が求められます。お困りの際は、ぜひご相談ください。

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